今回、紹介させていただく書籍は『竜の医師団』。竜を治療する医師を目指す少年少女たちの”異世界青春医療ファンタジィ”です。
この物語は以下の方におすすめ。
- 異世界ファンタジー小説が好きな人
- 竜が好きな人
- 主人公やその仲間の成長をみるのが好きな人
- 医療系の物語が好きな人
- シリーズ物の物語が好きな人
竜が登場する物語は数多くありますが、その多くは冒険や戦いが中心で竜とは畏怖される存在というのが多いという印象があります。
しかし、『竜の医師団』は今までの竜と人の物語と違い、人と竜が共存する世界の物語だと感じました。
今までと一味違うファンタジー小説が読みたい方にぜひともおすすめをしたい書籍になります。
『竜の医師団』とは

『竜の医師団』は著者 庵野ゆきさん。東京創元社 2024年に刊行が始まり、2026年現在は6巻まで発売されています。
また、2026年9月16日にコミックも発売されました。
庵野ゆきさんは、徳島県生まれのフォトグラファーと愛知県生まれの医師による共同ペンネームです。医療の知識と豊かな想像力が融合した作品が特徴で、2019年には『水使いの森』(応募時タイトル『門のある島』)で第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞を受賞し、デビューを果たしました。
『竜の医師団』では、その経歴を生かしたリアリティのある医療描写と、竜が暮らす壮大な異世界が見事に融合しています。医療をテーマにしながらも難しさは感じさせず、ファンタジーとしても青春小説としても楽しめるシリーズです。
あらすじ

この世は竜が作りしもの。
竜の医師団あらすじより
竜があるところに豊穣あり。だが竜が病む時、彼らは破壊をもたらす。
竜の医師団とは、竜の病を退ける者たちである。
本作は、この印象的な一文から物語が始まります。
舞台は極北の地・カランバス。主人公のリョウは、差別を受ける少数民族「ヤポネ人」の少年です。
ヤポネ人は教育を受けることも、読み書きを穴ぶことも禁じられ、将来の選択肢すら限られた厳しい環境で暮らしています。
そんなリョウに残された唯一の希望が、竜を治療する専門家「竜の医師団」の存在でした。医師団だけは国の枠を超えた特別な組織であり、民族や身分に関係なく実力で道を切り開くことができます。
孤児院の院長から入団試験の資格証を託されたリョウは、医師団の本拠地「竜の巣」を目指して旅立ちます。その道中で名門オパロフ家の少年レオニードと出会い、協力しながら飛行艇の発着場を目指すことになります。
こうして二人は、それぞれの夢を胸に、竜の医師団への第一歩を踏み出していくのでした。
『竜の医師団』の4つの魅力

私が『竜の医師団』シリーズを読んでいて、特に魅力的だと感じたポイントは4つあります。
竜を治療するという珍しい設定はもちろん、医療描写のリアリティや登場人物たちの成長、そして細部まで作り込まれた世界観など、読み進めるほどに引き込まれる魅力が詰まった作品です。
今回は、そんな『竜の医師団』魅力を、私なりの視点から4つに分けて紹介したいと思います。
- 竜がお茶目で可愛らしい
- リアリティのある医療描写
- リョウとレオニード、二人の少年たちの成長
- 細部まで作り込まれた異世界の世界観
竜がお茶目で可愛らしい
ファンタジー小説に登場する竜といえば、強大な力を持っていたり人々から恐れられる存在として書かれることが多い印象があります。
それこそホビットの冒険に出てきたスマウグだったり、ダンジョン飯に登場するレッドドラゴンだったり、竜というのは敵として登場することが多いイメージです。
しかし、『竜の医師団』に登場する竜は、羽ばたくだけで災害を起こす生き物ですが、作中では竜は「愛の生き物」と表現されています。竜は人を愛し、同族の竜も愛しています。
だからこそ、山のような巨大な竜が人に気を使って治療中は動くのを必死に我慢していたり、医師たちが竜に怒ったとき、竜はバツが悪そうな顔をします。
そんなお茶目ところが胸がキュンとしたり、クスっと笑えたり、胸が温かくなっていきます。
リアリティのある医療描写
『竜の医師団』のもう一つの魅力は、医療をテーマにした描写のリアリティさです。
著者である庵野ゆきさんは、フォトグラファーと医師の二人による共同ペンネームです。そのためか、作中では竜という架空の生物に対してですが、問診や治療を行う様子が丁寧に書かれています。
病気の原因を探り、症状を観察して、得られた情報から治療方法を考えていく。しかも、治療する竜は治療を症状を隠したりもします。
治療も魔法で治すというわけではなく、知識や経験から診断して薬を処方したり命がけで処置を行っていくことがとても新鮮でした。
ファンタジーなのに治療法は現実的で、そこがとても面白いポイントでした。
リョウとレオニード、二人の少年の成長
『竜の医師団は』医療ファンタジーであると同時に、少年たちの成長を描いた青春ファンタジィでもあります。
物語の中心になるのはヤポネ人の少年リョウと、名門オパロフ家に生まれたレオニードです。
そんな対照的な二人が竜の医師になるという目標を持っていきます。
私がこの作品で好きなのは、主人公たちが最初からなにもかも上手くいっているわけではないということです。
リョウも学ぶことがたくさんあるし、レオニードは医者になりたいのに血液が苦手ということがあります。
医療という厳しい世界の中で、少年たちがどのような医師に成長していくのかその過程を見守ることができるのもこのシリーズを読み進めたくなる理由になっています。
細部まで作り込まれた世界観
最後に紹介したい魅力ポイントは物語の舞台となる異世界の世界観です。
『竜の医師団』では竜の存在が人々の暮らしや社会に深くかかわっています。
竜は世界に豊穣をもたらす一方で、病に侵されると人々に大きな厄災をもたらすことがあります。
特に主人公が暮らすカランバスではとある竜が関わる歴史的な出来事がきっかけでたった現在、1匹の老竜しか住んでおらず、その竜がいなくなれば国はいずれ滅びてしまうという国です。
竜の存在を中心に世界は成り立っていて、竜は恐れられるものというより共にあるものという世界観が新しくて物語に深みがあるように感じられました。
『竜の医師団』を耳で楽しむ
『竜の医師団』に興味を持った方には、Amazonのオーディオブックサービス「Audible」もおすすめです。
2026年10月現在、シリーズ第4巻までがオーディオブックとして配信されており、第3巻までは聞き放題の対象になっています。
Audibleはプロのナレーターによる朗読で物語を楽しめるサービスです。
通勤時間や家事の合間など、なかなか本を開く時間が取れない方でも、耳で物語を楽しむことができます。
気になる方は、ぜひAudibleもチェックしてみてください。
まとめ
今回は庵野ゆきさんの『竜の医師団』シリーズを紹介しました。
竜を治療するという珍しい設定に加えて、リアリティのある医療描写や少年たちの成長、そして細部まで作り込まれた世界観などさまざまな魅力が詰まった作品です。
竜が好きな方はもちろん異世界ファンタジーや登場人物たちの成長を描いた物語が好きな方はぜひ一度手に取っていただきたいシリーズです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
